弁理士の仕事

弁理士とは、簡単に言うと、知的財産権(特に、産業財産権と呼ばれる特許・実用新案・意匠・商標)に関する専門家と言うことができると思います。ただし、弁理士の業務範囲の全ての業務をやっている人はいないと思われ、広さ深さは様々であるにせよ、各自ある程度の専門分野をもって、業務を行っていると思われます。

弁理士の主たる業務は、「他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願若しくは国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する異議申立て又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行うこと」(弁理士法4条1項)です。これらは、弁理士のコア業務と言えます。ただし、この中でも、(特にある程度以上の規模の事務所では)特許専門の弁理士、商標専門の弁理士というように分業化されているところもあります。

その他、外国出願関連業務、特許等に関する所定の訴訟の代理、特許権等の売買契約・ライセンス契約の代理等の業務も行うことができます。これらの業務については、各弁理士の得意分野に応じてやっていると思われ、弁理士と一口に言っても、どんな業務をやっているかは人それぞれでしょう。

私の場合、技術・法律・語学を駆使できる弁理士という仕事がしたいと思い、自動車のエンジニアからこの業界に入りました。確かに、日々の業務において、これらの要素は常に求められていると思います。明細書を作成する際に関連する技術について書籍やインターネットで調べたり、出願時・中間処理時、相談を受けた際に国内外の法律について調査・確認したりすることはよくあります。また、英文明細書作成の際に、単語の選択などについて辞書を見ながら悩むことなどもあります。

ただ、この業界に入る前には、「技術と法律とがどうやって結びつくのだろう」という素朴な疑問を持っていました。それが端的に表れるのがクレーム(特許請求の範囲)という部分で、これは、まさに技術を文章化したものであり、特許庁での審査の中心となり、場合によっては訴訟等で後々争われる部分です。そのような肝とも言える部分であるクレームを作るのは、技術を深く理解した上で、各国の法律や審査基準も考慮に入れて、的確に文章化しなければいけないので、きつい作業でもありますが、論理パズルみたいなところもあって楽しい作業でもあります。どのように書くか一日悩んだ後、通勤中や寝ているとき等にぱっとひらめくこともあります。

(文責 弁理士 立石 博臣)

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