PCT国際出願のインターネット出願について。
受理官庁としての日本国特許庁(RO/JP)にPCT出願を行う場合、日本語又は英語で行うことができます。これまで、日本語によるPCT出願は「インターネット出願ソフト」又は「PCT-SAFE」というソフトウェアを使ってすることができました。「インターネット出願ソフト」は国内の特許や商標登録出願等を行う場合にも使用されるソフトウェアです。一方、英語によるPCT出願は「PCT-SAFE」のみで行うことができたのですが、これはWIPO国際事務局が提供するソフトウェアです。このため、2種類のソフトウェアを使えるようにしておく必要があり、当事務所でも少し不便と感じていたところです。
この度、英語のPCT国際出願もインターネット出願ソフトを使って出願できるようになりました(平成28年10月2日より)。これに伴いRO/JPではPCT-SAFEを利用した全てのPCT国際出願の受付を平成28年12月31日に終了する予定とのことです。
なお、特許庁に対するPCT出願は日本語又は英語でもできるのであれば、英語で行うメリットは何でしょうか? 以前は、PCT出願を米国に移行する場合、日本語でなく英語で出願しておくと有利になる規定がありましたが、先般の改正によってその点はなくなりました。英語で出願すると国際調査機関として欧州特許庁(EPO)を選択できるため、それを希望する場合が考えられます。あと、PCT出願を外国に移行する場合は現地語への翻訳が必要となりますが、この場合は基本的に直訳でなければなりません。そのため、日本語が曖昧だと翻訳の際に困ることになりますが、英語に翻訳してPCT出願すれば各国への移行がスムーズになることが期待できます。あるいは、発明者が外国人であって英語で出願する方が楽という場合もあるかも知れません。
いずれにせよ、今回のアップデートによりPCT出願における手続面で便利になるので有難いと思います。 以上