英国の国民投票の知財実務への影響について。

 先日から大きく報道されているように、イギリスで欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票が行われ、離脱支持が多数となりました。我々知的財産の実務家としては、知財に関してどのような影響があるか気になるところです。

 離脱多数が決定して間もなく、当事務所も付き合いのあるイギリスの特許事務所から、今回の結果に関するコメントが送られてきましたので、それも参考にしながら少しご紹介したいと思います。

 まず、我々がヨーロッパで特許権を取得しようとするときに拠り所となる欧州特許条約(EPC)及び欧州特許庁(EPO)は、EUとは別の枠組みであり、イギリスはEPCの加盟国であることに変わりありません。そのため、EU離脱によって欧州特許出願の実務に大きな変更はないと考えています(なお、日本から欧州特許出願を行う場合はイギリスかドイツの事務所に依頼することが多いと思いますが、今回のポンド安が続けば費用的な面では影響が出てくるかも知れません)。

 一方、商標に関しては、一つの登録でEU全域に効力が及ぶ欧州連合商標(EUTM)制度があり、こちらについては影響があるかも知れません。

 また、EUは、欧州単一効特許(European Patent with Unitary Effect)制度及び欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court)の設立準備を進めています。統一特許裁判所の一つはロンドンに置かれる予定となっていました。これらについても何らかの影響があると思われますので、今後の動向を見守っていきたいと思います。 以上

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