PCT国際出願に係る手数料の改正について。

 平成28年4月1日の特許庁料金改正のうち、PCT国際出願に係る手数料の改正があります。具体的には、国際調査手数料及び予備審査手数料等において、日本語出願の場合は従来と変わりませんが、英語出願の場合は日本出願の倍の約2倍に値上げされます。

 そもそも日本国特許庁に対するPCT出願は日本語でも英語でもすることができます。米国のAIA改正前は英語出願にのみ102条(e)の先願の地位が認められていたため、英語でPCT出願をするとこのメリットがありました。しかし、AIA改正では、言語にかかわらず先願の地位が認められるようになったため、この点でのメリットはなくなりました。そして今回、英語PCT出願の国際調査手数料等が値上げされたため、英語PCT出願を行う割合としては更に少なくなるかも知れません。

 確かに、日本語PCT出願は、形式的には国内出願を基にほぼそのまま出願できるため、手軽で便利ではあります。ただし、忘れてはいけないのは、PCT出願を外国に国内移行する際には基本的に逐語訳で翻訳しないといけない点です。このため、外国語に翻訳できないような曖昧な日本語でPCT出願をしていると国内移行の際に困ることになります。従って、日本語PCT出願する場合には外国語に翻訳することを前提とした明確な構造の日本語で記載することが必須となります。英語PCT出願をする場合は、既に日本語から英語に変換するという作業を経るため、(きちんとした仕事がなされていれば)曖昧な日本語が矯正される可能性が高くなります。

 日本語PCT出願では外国語への翻訳を先延ばしできるというメリットはありますが、英語圏への国内移行が確実であるような場合等は、以上のような事情から英語PCT出願を行うことも一考の余地があると考えます。

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