災害時の期間延長

 今年に入ってからも、我が国は熊本・大分県の大地震を始め台風など、未曾有の大災害が続いています。

 このような大災害に見舞われたときに、出願人(権利者)が特許庁に対して手続を行わなければならなかったとすると、期限を徒過して大事な権利が消滅してしまうのではないかという心配がありますね。

 天災地変によって出願人(権利者)が平常どおり特許庁に対して手続ができない場合、これを「正当な理由(当事者の責めに帰することができない理由)」として、国は手続期間の延長というかたちで救済を図っています。

 ■期間■

 延長期間の長さは、一律に法律で定められているものではなく、国が災害の規模に応じて都度設定しているようです。

  今回の熊本・大分地震の例では、

(1)審査請求は「当事者の責任を負えない事由で期間が経過した場合、その事由が消滅した日から2ヶ月以内」であれば請求が可能です。

(2)特許料(登録料)納付は「当事者の責任を負えない事由で期間が経過した場合、その事由が消滅した日から2ヶ月以内であって期間の満了日から1年以内」であれば請求が可能です。

(3)特許庁指令書(拒絶理由通知書など)に対する応答(意見書・補正書など)は、期間経過後4ヶ月超過しても提出が可能な場合があるようです。

(4)他にも、拒絶査定不服審判請求期間やPCT関連の期限(国内移行、翻訳文提出書など)、訴訟提起期間などについても期間延長があります。

 ■手続■

 手続に関しては、地方自治体が発行する認定証などの証拠書類が必要になります。こちらは被害に遭われた出願人(権利者)が取得する必要があります。一方、期間延長を受ける手続と特許庁への審査請求等の手続に関しては、特許事務所に是非お任せ下さい。

 

 以上のように救済措置がありますが、延長期間にも限りがありますので、そのような事態に遭遇された場合は、まずはお早めに弁理士にご連絡下さい。弁理士の方でも、期限をしっかりと管理しつつ、お客様が災害復興に専念できるよう手続の面でサポート致します。

  それにも増して重要なことは1つ。このような災害が起きないことに越したことはありませんが、人生いつ何が起こるか分かりません。期限があるものについては、日頃からできるだけ早めに対応されることをお勧め致します。

以上

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