意匠登録等

意匠登録

意匠登録は、物品の美的外観を保護するための制度です。いわゆるインダストリアル・デザイン(工業デザイン)やプロダクト・デザインと呼ばれるものが該当します。例えば、自動車や家電製品やインテリア家具など、消費者の需要を喚起するような優れたデザインを保護するものです。

一方、例えば電子部品のように、あまり消費者の目にはつきにくいような製品であっても意匠登録の対象となり得ます。この場合、優れたデザインによって消費者の需要を喚起するというよりは、製品の具体的な外観形状を登録して模倣を防ぎたいというような意図があると思われます。一つの製品に対して、技術的な側面を特許出願するのと同時に、デザイン・外観形状的な面を意匠出願するということも行われます。

また、携帯電話のメニュー画面やビデオディスクプレーヤーの表示画面のような画面デザインも意匠法で保護される場合があります。なお、画面デザインなら何でも意匠登録できるわけではなく、画面表示でもGUIなどはソフトウェアとして特許で保護できる場合もあります。

意匠には、ある物品の全体について登録を求める全体意匠、物品のある一部について出願する部分意匠(上記の画面デザインも部分意匠です)、複数の物品を含むシステムデザインについて出願する組物の意匠、類似する複数の意匠について出願を行う関連意匠、登録から一定期間意匠を秘密にする秘密意匠などの制度があります。的確な制度を使うことにより、より効果的に製品デザインを保護することができます。

実用新案登録

実用新案も、特許と同様に、技術的なアイデアを保護するための制度です。ただし、実用新案は、物品の形状、構造または組合せのみが登録の対象となります。実用新案登録出願は、形式的な要件の審査のみで原則として登録されるため、有効な権利かどうか分かりません。このため、権利行使をするためには、事前に特許庁に対して「実用新案技術評価書」というものを請求して、有効な権利であるという評価を得る必要があります。

当事務所の実用新案登録サービスについて

~あなたのアイデアを「かたち(形)」にするお手伝いを致します。~

1.初めに

 現在の実用新案登録制度は、基本的に無審査であることから、特許に比べると権利の不安定さという点は否めません。しかし、権利行使を前提とせず、製品の宣伝・PR等が目的であれば、早期登録や費用が低い点でメリットがあります。

2.実用新案登録できるもの・できないもの

実用新案制度は、特許制度が保護する「発明」と比べて必ずしも技術的に高度ではない「考案」(小発明)を保護する制度です。考案とは、物品の形状、構造又は組合せのことをいいます。

  1. 物品の形状に係る考案: 「形状とは」線や面などで表現された外形的形象をいい、例えば、カムの形、歯車の歯形、工具の刃型のようなものです。
  2. 物品の構造に係る考案: 「構造とは」空間的、立体的に組み立てられた構成で、物品の外観だけでなく、平面図と立面図とにより、場合によっては更に側面図や断面図を用いて表現されるような構成です。
  3. 物品の組合せに係る考案: 「組合せとは」物品の使用時又は不使用時においてその物品の二個あるいはそれ以上のものが空間的に分離した形態にあり、またそれらのものは、独立して一定の構造又は形状を有し使用によりそれらのものが機能的に互いに関連して使用価値を生む場合のことをいいます。

具体例 

 下記一覧にないものでも出願できる場合がありますので、不明な場合はお問合せください。

<実用新案登録できるもの>

1            金属(非金属)製品           荷役用パレット/ターンテーブル/台車/人口漁礁/養鶏用かご/碇(いかり)/脚立/アイゼン/カラビナ/など

2            部品       固定金具(ネジ・釘・びょう・ボルト・ナット・リベット・くさび)/滑車/ばね/バルブ/管継ぎ手/フランジ/栓/弁/ガスケット/パッキング/ワッシャー/カム/プロペラ/ノズル/その他の機械部品/など

3            機械・装置の形状・構造・組合せ   

4            風呂用品・掃除道具           スポンジ/ブラシ/床用・窓用ワイパー/モップ/掃除機/風呂ヘアキャッチャー/ハンガー/液体詰め替えパウチ/洗濯ゴミ取りネットなど

5            台所用品              びん蓋開け器/鍋/弁当箱/水筒/味噌溶き具/保温マグカップ/まな板/エッグスライサー/チーズスライサー/缶切り/くるみ割り器/ピザカッター/など

6            医療・介護・健康器具       カテーテル/車椅子/ピンセット/マスク/眼帯/氷まくら/スポイト/健康サンダル/ノーズクリップ/など

7            美容       くし/ヘアカーラー/シェーバー/鼻毛カッター/アクセサリー/など

8            農具       くわ/鋤/レーキ/など

9            日用品    シャワーヘッド/おもちゃ/ペット用品/ベビー用品(哺乳瓶・だっこ紐など)/霧吹き/アイロン台/じょうろ/歯ブラシ/耳かき/耳栓/はえたたき/湯かき棒/湯たんぽ/フック/など

10           家具・寝具           椅子/テーブル/ベッド/布団/枕/傘立て/など

11           文房具    ペン/付箋/ステープラー/はさみ/テープディスペンサー(カッター)/クリップ/穴開けパンチ/指サック/など

12           その他    カー用品/手芸用品/運動用具/釣り具/喫煙用具/楽器/ヘルメット/傘/キーホルダー/つえ/折り畳みマット/そり/養蜂用巣箱/ねずみ取り器/など

<実用新案登録できないもの>

13           方法       物の製造方法/使用方法/など

14           天然物    動物品種/植物品種/微生物/金属/鉱石/など

15           一定の形状を有さないもの              化学物質/のり・接着剤/塗料・インキ・染料・顔料/粉類/液体・飲料/薬剤/など

16           コンピュータプログラム自体、コンピュータプログラム言語、アルゴリズム自体、ゲームのルール              シミュレーター/ゲーム機用プログラム/将棋・チェス・麻雀用具/など

17           永久機関(熱力学第二法則に反するもの)

18           著作物    絵画・彫刻などの単なる美的創造物/音楽を録音したCD/など

3.実用新案登録出願をするメリット

 ・早期権利化することが可能です。

実用新案制度では、一般的にライフサイクルが短い考案に係る製品の早期権利保護をすべく、登録を受けるために必要とされる一定の要件を満たしていれば、実体審査を経ずに権利付与を行うという、無審査登録主義を採用しています。そのため、特許が出願から登録までに2~3年は要するところ、実用新案の場合は2~5ヶ月で権利を取得することができます。すぐに実施(製造・販売等)したい短ライフサイクル製品の場合、実用新案が向いています。

 ・特許出願に比べて少ない費用で権利取得が可能

無審査登録主義のため、出願審査請求料が不要です。また、拒絶理由通知への対応費用も不要です。(料金表をご参照ください。) 

 ・あなたの商品のアピールになります。

登録証や登録番号を提示することで、その商品の技術が優れていることを取引相手に対して効果的にアピールすることができます。お客様の購買意欲を促進したり、銀行や投資家の融資を得たりしやすくなるでしょう。 

 ・第三者の出願・実施に対する牽制になります。

実用新案は無審査で登録されているため、特許と比べて権利行使に大きな制限がありますが、無審査であるからこそのメリットもあります。例えば、特許出願の場合、他人の出願後、所定の期間経過後に発行される公開公報を閲覧して出願内容を確認し、その出願を潰すために特許庁に対して情報提供をすることができます。しかし、実用新案では無審査で登録されるため、情報提供の機会がありません。そのため、第三者が実用新案権を潰すためには、登録後、無効審判を提起しなければなりませんが、審判請求にはそれなりの費用と労力を要します。結果として、第三者に設計変更を余儀なくさせたり、あなたの出願後の第三者による特許出願や実用新案登録出願を牽制したりすることができます。

もし、あなたがある考案をし、それと同一のものを第三者も創作したとします。もし第三者があなたの出願日よりも前に出願してしまえば、あなたの考案は独占排他権を得ることができなくなるばかりか、第三者の権利化によってあなたの業としての実施が不可能になる可能性もあります。このような事態を防ぐために、考案が完成したらできるだけ速やかに実用新案登録出願されることをお勧め致します。一旦出願すると、その考案の内容は公報によって公開されます。また、その出願が登録されると、その実用新案権は特許庁の実用新案原簿に記載され公示され、権利の所有者が明らかにされます。 

4.実用新案登録出願を弁理士事務所に依頼するメリット

専門の弁理士が出願書類を作成することで、以下のメリットが得られます。

  1. 基礎的要件を高い確率でクリアできるため、印紙代等の無駄を省けます。 方式的不備がある場合、出願後、特許庁による補正命令を受けますが、その所定の期間内に意見書・補正書等の提出をしなければ、出願手続きが却下され、出願自体がはじめからなかったものと見做されますので、ご注意ください(実用新案法第2条の3)。 その点、弁理士による手続きであれば、そのような不安に振り回されることはありません。 
  2.  加えて、紙媒体で提出される方は、意見書・補正書等の電子化手数料を要します。
  3.  出願に要する費用を節約するために自力で実用新案登録出願をされる方がおられますが、その出願書類には方式的不備が存在することがしばしばあります。
  4. 自力での出願よりも短期間で仕上り、事業の早期着手を後押しします。 実用新案制度も特許制度と同様、先願主義を採用しておりますので、同一の考案について2以上の出願があった場合、もっとも早く特許庁に出願した者のみが実用新案登録を受けることができます(実用新案法第7条)。 弁理士は、日頃蓄積しているノウハウで、お客様のアイデアを短時間でまとめて出願書類に仕上げ、あなたの事業の早期着手を後押しします。
  5.  実際には、無審査のため、先後願の判断をされることなく登録になりますが、登録後の事業化を見据えれば、考案の完成からできるだけ早く出願手続きをされることが好ましいと思われます。
  6.  慣れない自力での出願は、多大な労力と時間を要します。

 -あなたのアイデアをきれいで分かりやすい図面で示します。

 プロによって作成された図面は、手書きの図面よりも格段にあなたの出願書類の見栄えを向上させます。商談等でその威力を発揮することでしょう。

 -より充実した内容を提供します。

 明細書や請求の範囲は、実用新案登録という権利書のいわばもっとも重要な部分です。ここを疎かにしますと、当業者が読んでも考案がうまく把握できない等の理由により、実用新案登録証がまるで意味のない紙切れになってしまう可能性があります。

 弁理士は、このようなことがないように、あなたのアイデアを明細書や請求の範囲の記載にしっかりと盛り込んで、より確かな権利の取得をお手伝い致します。

5.実用新案登録のデメリット

(1)短い存続期間

 権利期間が特許と比べ10年と短いため、実用新案権を取得しても長期間に亘っての市場の独占は難しいかもしれません。逆に、すぐに実施する予定のある短ライフサイクル製品には向いています。

 長期間の独占排他権の取得を求めるのであれば、特許出願されることをお勧め致します。

(2)不安定な権利

 実用新案登録出願は無審査で登録されるため、登録後の権利が不安定であり、特許権と比べ弱いです。そのため、ライセンス契約の締結が難しいと思われます。

 ライセンス契約を想定されておられる場合は、特許出願をお勧め致します。

(3)権利行使が難しい

 権利行使をするためには、まず技術評価書の請求し、これを提示して警告しなければなりません。また、自己の実用新案権の有効性が確認できない状態で権利行使又は警告をすると、その後、相手方が無効審判を請求してその実用新案権が無効になった場合、相手方に与えた損害を賠償する責めを負うこととなります。

 ただし、技術評価書で特許庁の肯定的な評価が得られており、且つ独自の調査(弁理士による鑑定等)を行って、相当の注意をもって権利行使又は警告をしたときは、賠償請求の責めに問われない場合があります。そういう意味では、権利の有効性を相当の注意をもって確認していれば、権利行使ができるとも言えます。

 特許権についてはこのような権利行使の制限がありませんので、権利行使を想定されている場合には、特許出願をお勧め致します。 

6.当事務所のサービス内容

ビフォー

【考案の名称】鉛筆

【背景技術・従来技術】

 今まで丸い鉛筆しかなかった。

【課題】

 丸い鉛筆は転がりやすい。

 そこで、六角形にした。

【課題を解決する手段】

(実施例1)

 六角形の鉛筆。

【考案の効果】

転がりにくい鉛筆を提供することができる。

アフター

【考案の名称】鉛筆

【背景技術・従来技術】

 従来、鉛筆には、断面が真円形のものしかなかった。

【課題】

 しかし、断面が真円形の鉛筆は転がりやすいため、机の上から床に落としてしまったり、落とすことにより芯が折れたり、紛失したりすることが多かった。

 また、鉛筆の転落が多いと、転落した鉛筆を拾いに行く動作が必要となり、学校の授業や会合の進行の妨げとなることもあった。

 そこで、本考案は、転がりにくい鉛筆を提供する。

【課題を解決する手段】

(実施例1)

 鉛筆は、芯と、鉛筆軸とからなる。

 芯は、顔料を細長い棒状に固めてできる記録部材である。文字を書いたりデッサンを描くために用いられる通常の筆記具としての鉛筆の場合、芯は黒鉛と粘土を混錬して成型される。また、多彩画を描くために用いられる色鉛筆の芯は、着色・体質顔料とワックスとを混錬して成型される。

 芯の形状は円柱である。芯の強度は比較的弱く、鉛筆を削った時や軽い衝撃が外部から与えられた時に折れやすいため、この形状が好適である。

 芯は、折れにくくしつつ、文字の書きやすさと判読のしやすさとを兼ね揃えることができるように、ある一定の太さ(径)と硬度とを有している。

 鉛筆軸は、筆記具として用いる時の保持部となるものである。鉛筆軸は、芯を内包することが可能な貫通孔をその中心に有する筒状の部材である。鉛筆軸の完成品の外形状は、短手方向断面が、多角形である。多角形の一例としては、三角形、四角形、五角形、六角形などが挙げられる。いずれの形状も、鉛筆を転がりにくくできるが、握り易さや製造のし易さの観点から、六角形であることが好ましい。

 鉛筆軸の素材は、鉛筆削り機やカッターナイフで容易に削ることができるものであれば特に限定されないが、所定の硬度、入手性、コスト等の観点から、木を用いることが好ましい。

 鉛筆軸は、外周が一定のピッチで屈曲し(断面形状が多角形)で、平面からなる底面には芯が保持される溝が切られた、略蒲鉾状部材を2つ組み合わせて構成される。すなわち、略蒲鉾状部材とは、完成品から見ると、長手方向に沿って短手方向断面が二等分されてできる部材である。

 鉛筆は、鉛筆軸を構成する略蒲鉾状部材の底面の一方の溝に芯を載置し、当該略蒲鉾状部材の底面上に接着剤を塗布し、さらに対向する略蒲鉾状部材の底面を貼り合わせて接着剤を固めることにより完成する。

 なお、芯と鉛筆軸の長さは、同じである。鉛筆の長さは、特に限定されないが、持ちやすさ及び1本当たりの記録量の観点から、約20cmであることが好ましい。

(実施例2)

 断面形状は必ずしも多角形である必要はなく、楕円形であってもよい。

【考案の効果】

本考案の鉛筆によれば、鉛筆が転がるのを防止することができる。

 また、机の上から床に落としてしまったり、落とすことにより芯が折れたり、紛失したりすることを防止することができる。

 さらに、転落した鉛筆を拾いに行く動作が減少することにより、学校の授業や会合の進行の妨げをも防止することができる。

【書類名】実用新案登録請求の範囲

【請求項1】

 芯と、芯を内包しつつ使用時に使用者の手で保持される鉛筆軸と、を備える鉛筆であって、

 芯は、顔料と粘土とを混錬して細長い円柱状に成型され、

 鉛筆軸は、芯を内包することが可能な貫通孔を短手方向断面の中心部に有し、外形は短手方向断面形状が真円形以外の形状となるような筒状の部材であり、

芯及び鉛筆軸の長さは同じであることを特徴とする、鉛筆。

【請求項2】

 鉛筆軸の短手方向断面が多角形であることを特徴とする請求項1に記載の鉛筆。

【請求項3】

 鉛筆軸の短手方向断面が六角形であることを特徴とする請求項1に記載の鉛筆。

【請求項4】

 鉛筆軸の短手方向断面が楕円形であることを特徴とする請求項1に記載の鉛筆。

【書類名】要約書

【要約】

【課題】転がりにくい鉛筆を提供する。

【解決手段】

 芯と、芯を内包しつつ使用時に使用者の手で保持される鉛筆軸と、を備える鉛筆である。芯は、顔料と粘土とを混錬して細長い円柱状に成型され、鉛筆軸は、芯を内包することが可能な貫通孔を短手方向断面の中心部に有し、外形は短手方向断面形状が多角形となるような筒状の部材であり、多角形は六角形である。

【選択図】図1

【書類名】図面

【図1】(画像)

【図2】(画像)

【図3】(画像)

7.料金の一例

<出願時費用及び登録料3年分を含みます>

当所手数料 172,800円(税込)

(内訳:願書/明細書/要約書/請求項(3項)/図面(3図)の場合)

特許庁費用 21,200円

合計   194,000円

正式には御見積書を発行いたします。

 

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